さて、どのようなケースでACPが必要となってくるか考察してみましょう。

  • ACPが必要となるケースで最も多いのは、アマゾンのFBA(Fulfillment by Amazon)を利用して非居住者自身が日本へ輸入するケースです。この場合、日本側の買手はまだ決まっていない中で輸入するということになります。
  • 次に考えられるのが、日本側の買手との契約・受渡条件がDDP(Delivered Duty Paid, 関税込み持ち込み渡し)である場合です。DDP条件では、売手である非居住者自身で輸入し、日本のお客様の指定する場所まで届ける必要があるからです。
  • また、非居住者自身が日本において使用/消費するために持ち込む場合で、ACPを利用することもあります。

 

消費税のインボイス制度導入に伴い、海外企業の数多くの方々が消費税の登録事業者(課税事業者)になっています。

ACP(税関事務管理人)を利用すれば、その方々が自ら「輸入者」となることができますので、消費税の申告をする際、輸入時に支払った輸入消費税について仕入税額控除できるようになります。

一方、自らが輸入者とならずに他の会社(IORサービスプロバイダー等)を輸入者=IORとした場合には、海外企業が消費税の申告をする際、輸入時に支払った輸入消費税の仕入税額控除は基本的にできません。

このように、消費税の観点からも、ACP(税関事務管理人)制度は大きなメリットをもたらします。

 

消費税 – インボイス制度導入の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット

2023年の消費税インボイス制度導入に伴い、数多くの海外企業が消費税のインボイス発行事業者となっています。日本の顧客(買い手)側が消費税の確定申告をする際に、売り手側からの買入額について仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス発行登録事業者からの仕入インボイスでないといけません。これが、数多くの海外企業(売り手側)がインボイス登録事業者となっている背景です。

さて、(売り手側である海外企業が)インボイス発行事業者になるということは、消費税の課税事業者になりますので、消費税の確定申告が必要となります。非居住者の海外企業が輸入をして日本国内の顧客に販売する場合、消費税の取扱いは以下の通りとなります。

(1) 輸入時に、輸入消費税10%を税関に納付する。

(2) 日本国内の顧客から内国消費税10%を徴収する。

(3) 税務署に対し、定期的に消費税の確定申告を行う。

(3-1) 海外企業が自ら輸入者(IOR)となって(1)輸入消費税を支払った場合、つまり税関事務管理人(ACP)を利用して輸入した場合、(2) – (1)の差額分のみを税務署に納付することとなります。つまり、輸入消費税の仕入税額控除が可能です。

(3-2) 海外企業でなく他の者が輸入者となった場合、輸入消費税の仕入税額控除はできません。したがって、(2)の全額を税務署に納付しなければなりません。

 

確定申告時に輸入消費税を控除できるのは、輸入者だけですので注意が必要です。輸入時に他のIOR(輸入者)サービス提供者、物流会社などが輸入者になった場合、実質的にその費用負担した海外企業が確定申告をする際、その輸入消費税の仕入税額控除を適用することができなくなってしまうのです。したがって、上記(3-2)に示すように、(2)の全額を税務署に納付する必要があります。

一方、海外非居住者が、税関事務管理人(ACP)を利用して輸入した場合には、その海外非居住者が輸入者になることができますので、海外企業が確定申告をする際、輸入消費税の仕入税額控除を適用することができるようになります。上記(3-1)に示すように、(2)-(1)の差額のみを税務署に納付することが可能となります。

これが、税関事務管理人(ACP)サービスを利用する大きなメリットです。

他の者が輸入者になるのではなく、海外企業が自ら輸入者になるよう、税関事務管理人(ACP)サービスを利用されることを推奨いたします。

 

参考資料:

 

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SKアドバイザリーの税関事務管理人(ACP) サービス

1-非居住者輸入における関税評価・申告価格の取扱い

2-非居住者輸入における消費税の取扱い

3-税関事務管理人の取扱制限

4-税関事務管理人の届出書

5-税関事務管理人の届出資格

6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, DDP取引など)

7-納税管理人(Tax Representative)

8-IOR/輸入者代行サービス

9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット