非居住者 – 消費税の取扱い
税関事務管理人制度を用いて非居住者が日本で輸入者になるということは、関税と輸入消費税の納税義務が発生します。
関税については粛々と納付することで完結します。
消費税については、まず輸入消費税を輸入時に納めます。輸入後、日本国内においてDDP条件等で販売した場合、当該販売は通常消費税の課税の対象となり、お客様から消費税を受け取ることになります。この受け取った消費税をどのように扱えばよいのでしょうか?
受け取った消費税は、基本的には国税(税務署)に納付しなければなりません。
消費税は、事業者が国内において行った資産の譲渡等を課税の対象としていますので、非居住者であっても日本国内において資産の譲渡等を行った場合には当然に消費税の課税対象となり、納税義務が生じます。
しかし小規模事業者の場合で、日本国内での売上げ(基準期間における課税売上高)が1,000万円/年に満たないようなケースでは、納税義務が免除される可能性があります。
一方で、輸入した後に日本国内に一定期間在庫として抱え、その在庫期間が長いといった場合には輸入消費税の支払のみが発生し、キャッシュフローの負担が大きいといったケースも考えられます。このような場合には、「課税事業者選択届出書」を税務署に提出し、敢えて課税事業者となることで、支払った輸入消費税分の還付を受けるという手段も考えられます。
またインボイス制度導入に伴い、適格請求書発行事業者(課税事業者)となることも考えられます。
このようにして課税事業者を選択する場合、又は納税義務を有する場合には、日本国内において税務署に申告を行うための納税管理人(Tax Representative)の選任が、税関事務管理人(ACP)とは別途必要になります。
当社では、税関事務管理人(関税、輸入消費税)& 納税管理人(内国消費税)のワンセットでサポートを行っています。
消費税、その他税務(PEリスク等)に関することは税理士のアドバイスを受けることをお勧めいたします。国際税務に強い提携パートナーの税理士とともにアドバイスさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
消費税 – インボイス制度導入の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット
2023年の消費税インボイス制度導入に伴い、数多くの海外企業が消費税のインボイス発行事業者となっています。日本の顧客(買い手)側が消費税の確定申告をする際に、売り手側からの買入額について仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス発行登録事業者からの仕入インボイスでないといけません。これが、数多くの海外企業(売り手側)がインボイス登録事業者となっている背景です。
さて、(売り手側である海外企業が)インボイス発行事業者になるということは、消費税の課税事業者になりますので、消費税の確定申告が必要となります。非居住者の海外企業が輸入をして日本国内の顧客に販売する場合、消費税の取扱いは以下の通りとなります。
(1) 輸入時に、輸入消費税10%を税関に納付する。
(2) 日本国内の顧客から内国消費税10%を徴収する。
(3) 税務署に対し、定期的に消費税の確定申告を行う。
(3-1) 海外企業が自ら輸入者(IOR)となって(1)輸入消費税を支払った場合、つまり税関事務管理人(ACP)を利用して輸入した場合、(2) – (1)の差額分のみを税務署に納付することとなります。つまり、輸入消費税の仕入税額控除が可能です。
(3-2) 海外企業でなく他の者が輸入者となった場合、輸入消費税の仕入税額控除はできません。したがって、(2)の全額を税務署に納付しなければなりません。
確定申告時に輸入消費税を控除できるのは、輸入者だけですので注意が必要です。輸入時に他のIOR(輸入者)サービス提供者、物流会社などが輸入者になった場合、実質的にその費用負担した海外企業が確定申告をする際、その輸入消費税の仕入税額控除を適用することができなくなってしまうのです。したがって、上記(3-2)に示すように、(2)の全額を税務署に納付する必要があります。
一方、海外非居住者が、税関事務管理人(ACP)を利用して輸入した場合には、その海外非居住者が輸入者になることができますので、海外企業が確定申告をする際、輸入消費税の仕入税額控除を適用することができるようになります。上記(3-1)に示すように、(2)-(1)の差額のみを税務署に納付することが可能となります。
これが、税関事務管理人(ACP)サービスを利用する大きなメリットです。
他の者が輸入者になるのではなく、海外企業が自ら輸入者になるよう、税関事務管理人(ACP)サービスを利用されることを推奨いたします。
参考資料:
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9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット