税関事務管理人(ACP)は、関税法上、日本に拠点を有する者であれば誰でもなることができるとされていますが、輸入に関する正しい知見・実務経験がないと問題が起きてしまう可能性があります。素人が手を出してしまうことで、通関業法に係る通関業務を勝手にしてしまうなどの法令違反が発生する可能性もあります。

また、法令を遵守して輸入するためには、ACPが責任をもって輸入貨物の税番(HSコード)、関税率、関税評価(輸入申告価格)、原産地、他法令規制などについて確認し、適宜税関の各部門と協議する必要があり、素人では到底責任を果たすことはできないでしょう。

したがって、家族や知人・友人等に頼むというのは極めてリスクが高いです。そのようなケースで、通関を適切に手続きを進めることができずに結局輸入通関が通らず、貨物を発送国に送り返されたという例もよく聞きます。勿論その場合、輸入できないどころか返送料、保管料等の不要なコストが発生します。

輸入に関する各種規制(関税法および他法令の規制)への対応、適正な納税を行うための関税評価(輸入申告価格)の算出および所管税関への評価申告対応、通関業法の独占業務を理解した上での通関業者との協業など・・、税関事務管理人に求められる知見は多岐にわたります。

 

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SKアドバイザリーの税関事務管理人(ACP) サービス

食器類、食品器具等の輸入者代行サービス

1-非居住者輸入における関税評価・申告価格の取扱い

2-非居住者輸入における消費税の取扱い

3-税関事務管理人の取扱制限

4-税関事務管理人の届出書

5-税関事務管理人の届出資格

6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, VMI, データセンターなど)

7-納税管理人(Tax Representative)

8-IOR/輸入者代行サービス

9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット

10-VMIでの税関事務管理人利用

 

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消費税 – インボイス制度導入の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット

2023年の消費税インボイス制度導入に伴い、数多くの海外企業が消費税のインボイス発行事業者となっています。日本の顧客(買い手)側が消費税の確定申告をする際に、売り手側からの買入額について仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス発行登録事業者からの仕入インボイスでないといけません。これが、数多くの海外企業(売り手側)がインボイス登録事業者となっている背景です。

さて、(売り手側である海外企業が)インボイス発行事業者になるということは、消費税の課税事業者になりますので、消費税の確定申告が必要となります。非居住者の海外企業が輸入をして日本国内の顧客に販売する場合、消費税の取扱いは以下の通りとなります。

(1) 輸入時に、輸入消費税10%を税関に納付する。

(2) 日本国内の顧客から内国消費税10%を徴収する。

(3) 税務署に対し、定期的に消費税の確定申告を行う。

(3-1) 海外企業が自ら輸入者(IOR)となって(1)輸入消費税を支払った場合、つまり税関事務管理人(ACP)を利用して輸入した場合、(2) – (1)の差額分のみを税務署に納付することとなります。つまり、輸入消費税の仕入税額控除が可能です。

(3-2) 海外企業でなく他の者が輸入者となった場合、輸入消費税の仕入税額控除はできません。したがって、(2)の全額を税務署に納付しなければなりません。

 

確定申告時に輸入消費税を控除できるのは、輸入者だけですので注意が必要です。輸入時に他のIOR(輸入者)サービス提供者、物流会社などが輸入者になった場合、実質的にその費用負担した海外企業が確定申告をする際、その輸入消費税の仕入税額控除を適用することができなくなってしまうのです。したがって、上記(3-2)に示すように、(2)の全額を税務署に納付する必要があります。

一方、海外非居住者が、税関事務管理人(ACP)を利用して輸入した場合には、その海外非居住者が輸入者になることができますので、海外企業が確定申告をする際、輸入消費税の仕入税額控除を適用することができるようになります。上記(3-1)に示すように、(2)-(1)の差額のみを税務署に納付することが可能となります。

これが、税関事務管理人(ACP)サービスを利用する大きなメリットです。

他の者が輸入者になるのではなく、海外企業が自ら輸入者になるよう、税関事務管理人(ACP)サービスを利用されることを推奨いたします。

 

参考資料: