税関との協議により、HS 7007(関税率3.5%)ではなく、HS 7020(関税率:無税)での分類方針を確認
概要
SKアドバイザリー株式会社は、海外ゲーミングアクセサリーブランドが日本向けに輸入するゲーミング用ガラス製マウスパッドについて、HSコードの確認および税関との協議(口頭及びEメールでの事前教示)を支援しました。
本件では、対象商品が「強化ガラス」を使用していることから、通関時に税関担当官よりHS 7007.19「安全ガラス - 強化ガラス(その他のもの)」として分類される可能性が示されました。HS 7007.19に分類された場合、関税が発生する可能性があり、継続的な輸入において関税コストが大きな問題となる可能性がありました。
一方で、当該商品は、自動車用ガラス、建築用安全ガラス、スマートフォン用保護ガラスのように、人体や機器を衝撃から保護することを主目的とした製品ではありませんでした。主たる用途は、eスポーツやゲーミングにおけるマウス操作の滑走性、操作感、耐摩耗性を向上させることにありました。
SKアドバイザリー株式会社では、商品の材質、構造、用途、販売形態、関税率表解説(WCO Explanatory Notes)および過去の輸入実績を整理し、税関に対して、HS 7020「その他のガラス製品」(関税率:無税)として分類することの妥当性を説明しました。
その結果、当該ゲーミング用ガラス製マウスパッドについては、HS 7007.19「安全ガラス - 強化ガラス(その他のもの)」ではなく、HS 7020.00-000「その他のガラス製品」(関税率:無税)として分類することが妥当であるとの方針を確認することができました。
これにより、関税コストの適正化だけでなく、今後の継続的な輸入におけるコンプライアンス体制の強化にもつながりました。

相談の背景:強化ガラス製マウスパッドのHSコード判断
今回の対象商品は、海外ゲーミングアクセサリーブランドが日本市場向けに販売するゲーミング用ガラス製マウスパッドです。一般的な布製マウスパッドとは異なり、対象商品はガラス素材を使用しており、表面の平滑性、マウス操作時の滑走性、耐摩耗性、トラッキング性能を高めることを目的とした製品でした。
しかし、商品説明上、「強化ガラス」「toughened glass」「chemically strengthened glass」などの表現が使用されていたことから、税関から、HS 7007.19「安全ガラス - 強化ガラス(その他のもの)」に該当する可能性が検討されました。
HSコードは、輸入申告において非常に重要です。HSコードによって関税率が変わるため、分類を誤ると、本来不要な関税コストが発生する可能性があります。一方で、適切でないHSコードを用いて低い関税率で申告した場合には、後日、税関から指摘を受け、追加の関税、延滞税、加算税等のリスクがあります。
そのため、本件では、単に商品名や素材名だけで判断するのではなく、商品の主たる用途、客観的な機能、関税率表解説上の分類基準を踏まえて、慎重にHSコードを検討する必要がありました。
論点:強化ガラスであれば必ずHS 7007「安全ガラス(強化ガラス)」の強化ガラスに該当するのか
本件で最も重要な論点は、強化ガラスを使用している製品であれば、当然にHS 7007の「安全ガラス(強化ガラス)」に分類されるのか、という点でした。
税関担当官が当初主張したHS 7007.19「安全ガラス - 強化ガラス(その他のもの)」は、強化ガラス又は合わせガラスから成る安全ガラスを対象とする分類です。
しかし、関税分類においては、単に素材や加工方法だけで判断するのではなく、その物品がどのような用途・機能を有する製品であるかについても確認を要する場合があります。
関税率表解説(WCO Explanatory Notes)において、HS 7007に該当する安全ガラスの例としては、自動車用ガラス、窓、戸、舷窓、作業者やドライバーの保護用眼鏡、ガスマスク又は潜水帽のレンズ、防弾ガラス等が挙げられます。
これらに共通するのは、破損時の危険防止、衝撃からの保護、安全性の確保といった機能が、物品の本質的な目的となっている点です。
一方、今回のゲーミング用ガラス製マウスパッドは、ユーザーや機器を衝撃から保護することを主目的とするものではありません。
主な目的は、マウス操作時の滑走性、操作感、耐摩耗性を高めることです。仮に飛散防止機能や強化処理が施されていたとしても、それはマウスパッドとしての耐久性や使用安全性を補助的に高めるものであり、HS 7007が想定する安全ガラスの本質的な用途とは異なると考えられました。
SKアドバイザリー株式会社の対応
SKアドバイザリー株式会社では、まず対象商品の構造と用途を確認しました。
対象商品は、ゲーミング・eスポーツ用途のマウスパッドであり、主に以下のような特徴を有していました。
- ガラス表面による高い滑走性
- マウス操作時の安定した操作感
- 長期使用に耐える耐摩耗性
- ゲーミング用途に適したトラッキング性能
- 裏面の滑り止め構造
- 破損時の飛散リスクを抑えるための補助的な構造
これらの特徴を踏まえ、当社では、対象商品の本質は「安全ガラス」ではなく、「ゲーミング用マウスパッドとして使用されるガラス製品」であると整理しました。
そのうえで、税関に対して、次のような観点から説明を行いました。
1. 商品の主たる用途は安全・保護ではなく、マウス操作性の向上であること
対象商品は、ゲーミング用マウスパッドとして販売される製品です。
ユーザーがこの商品を購入する主な理由は、ガラス素材による滑らかなマウス操作感、正確なトラッキング性能、耐摩耗性、清掃のしやすさなどにあります。
つまり、商品の中心的な機能は、マウス操作環境を向上させることです。
自動車用安全ガラスや保護ガラスのように、人体や機器を外部衝撃から保護することが商品の主目的ではありません。
この点を明確にすることで、HS 7007が想定する「安全ガラス」と本件商品との違いを整理しました。
2. 強化ガラスであることだけを理由にHS 7007に分類すべきではないこと
本件商品には、強化ガラス又はこれに類するガラス素材が使用されていました。
しかし、関税分類では、素材名だけでなく、製品全体としての用途や性質を確認する必要があります。
強化ガラスを使用している製品であっても、それがコップ、皿、プレート、家具部材、装飾品、その他のガラス製品として使用される場合には、その用途や性質に応じて分類されます。
したがって、本件商品についても、「強化ガラスを使用している」という一点のみでHS 7007に分類するのではなく、ゲーミング用マウスパッドとしての用途・機能に基づき、HS 7020.00「その他のガラス製品」(関税率:無税)として検討すべきであると説明しました。
3. 飛散防止機能は副次的な機能であること
対象商品には、ガラス製品としての安全性を一定程度確保するため、破損時の飛散リスクを抑える構造が含まれていました。
しかし、この飛散防止機能は、商品を安全ガラスとして使用するための主目的ではなく、ゲーミング用マウスパッドとして安全に使用するための補助的な機能に過ぎません。
本件では、この点が重要でした。税関分類では、ある機能が存在すること自体よりも、その機能が商品の本質的な性格を決定しているかどうかが問題となります。
当社では、対象商品の本質はあくまでゲーミング用マウスパッドであり、飛散防止機能は副次的な機能であることを説明しました。
結果:HS 7020.00「その他のガラス製品」での分類方針を確認
税関との協議(口頭及びEメールでの事前教示)の結果、対象商品については、HS 7007「安全ガラス」ではなく、HS 7020.00「その他のガラス製品」(関税率:無税)として分類することが妥当であるとの方針を確認することができました。
税関からは、強化ガラス製であっても、目的を問わず一律にHS 7007に分類されるわけではなく、本件商品の主な使用目的は、マウスの操作感や耐摩耗性の向上にあるとの考え方が示されました。
また、破損時の危険防止や飛散防止機能は副次的なものであり、商品の本質的な性格を安全ガラスと判断する決定的な要素ではないと整理されました。
これにより、当該ゲーミング用ガラス製マウスパッドについては、HS 7020.00(関税率:無税)として申告する方針を確認することができました。
成果:関税コストの適正化と輸入コンプライアンス体制の強化
本件では、仮にHS 7007.19として分類された場合、関税が発生する可能性がありました。
一方、HS 7020.00(関税率:無税)として分類する方針を確認できたことで、商品の実態に即したHSコードに基づく申告が可能となり、関税コストの適正化につながりました。
本件の意義は、単に関税コストを抑えたことだけではありません。
税関から分類に関する疑義が示された段階で、商品の構造、用途、関税率表解説、過去の輸入実績を整理し、税関に対して説明可能な根拠を構築できたことが重要です。
これにより、今後の継続的な輸入においても、同様の確認が求められた場合に対応しやすくなり、輸入コンプライアンス体制の強化にもつながりました。
SKアドバイザリー株式会社の支援内容
SKアドバイザリー株式会社では、外国法人、ITインフラ企業、越境EC事業者、日本向けブランドオーナー等に対して、HSコード確認、税関対応、輸入コンプライアンスに関する実務支援を提供しています。
主な支援内容は以下のとおりです。
- HSコードの確認
- 関税率の確認
- 税関への事前相談
- 口頭又はEメールでの事前教示の支援
- 文書による事前教示の支援
- 通関業者との連携
- 税関からの問い合わせ対応
- 輸入申告価格、関税評価に関する相談
- ACP、税関事務管理人としての非居住者輸入サポート
- Amazon FBA、越境EC、海外ブランドの日本向け輸入支援
SKアドバイザリー株式会社では、単にHSコードを形式的に確認するだけではなく、商品の実態、用途、材質、販売形態、商流、物流、過去の通関実績を踏まえ、税関に対して説明可能な申告方針を整理します。
また、必要に応じて税関と直接協議し、輸入者が安心して継続的な輸入を行える体制づくりを支援しています。
当社の特長
当社は、通関と税務の交差点にある複雑な課題にも精通しており、両面から実務的にご支援できることが、他社にはない大きな強みです。
関税と国税の密接な関係を的確に理解し、包括的に対応することは、国際取引において極めて重要です。
おすすめサービス

税関事務管理人サービス - ACP
外国法人(非居住者)が日本で輸出入を行う際、当社が税関手続の代理人として「税関事務管理人」を務め、外国法人が自ら輸入者・輸出者となってビジネスを実現するための体制構築をします。消費税の納税管理人の手配についてもサポートいたします。
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実績 - 税関事務管理人サービス
これまでに、世界40カ国以上・300社超のお客様(主に外国法人)の日本での輸出入を支援してまいりました。

税関事務管理人(ACP)サービス
基本業務スコープ(税関事務管理人としてサポートさせていただく主な業務内容)
- 税関への税関事務管理人(ACP)届出に必要な書類一式の準備、届出作業
- 税関、物流会社/通関業者その他関係者との協議調整
- インボイス等の輸入関係書類の準備
※適切な輸出入通関手続を実現するためには、B/L・AWBおよびインボイス上におけるシッパー・コンサイニー(荷受人)・輸入者などの記載を正確に行うことが重要であり、当社ではこれらの表記方法について実務に則したアドバイスを提供します。また、輸入貨物に係る輸入申告価格およびその算定根拠資料、HSコード、原産地表示等についても、適切な記載方法および必要な資料の準備に関して専門的な助言を提供します。 - 適正な輸入申告価格(関税評価)、税番(HSコード)、関税率、原産地等の確認(事前教示対応を含む)
- 他法令規制物品の輸入支援 - 製品安全4法(PSE・PSC等)の国内管理人サービス、食品・食器等の輸入者支援など
- 輸出管理、安全保障貿易管理業務(リスト規制の該非判定、キャッチオール規制含む取引審査、経済産業省への許可申請等)
- 関税法上必要な帳簿記録・保存対応
- 関税・通関に関する各種アドバイザリーサービス
※ACP 税関事務管理人を利用することで、輸入(非居住者を輸入者(IOR - Importer of Record)とする)及び輸出(非居住者を輸出者(EOR - Exporter of Record)とする)のいずれのケースにおいても同様にサポート可能です。

税関事務管理人サービスご利用の大まかな流れ
- 見積書確認~契約締結
必要情報(下記参照)をご提供いただき次第、速やかに御見積書を提出いたします。御見積内容に双方合意後、業務委託契約書を締結いたします。 - 税関への税関事務管理人(ACP)の届出開始
税関での税関事務管理人(ACP)の届出手続を開始いたします。通常、手続は概ね2週間程度で完了します。 - 初回出荷、輸出入の開始
必要な手続完了後、初回出荷および輸出入を開始いただけます。物流会社および通関業者はクライアント様にてご手配ください。ご希望があれば、当社より信頼できるパートナーをご紹介することも可能です。
お見積りについて
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- 輸出入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
- 1回あたりの輸出入金額の概算規模
- 輸出入の頻度
- ビジネスモデル(Amazon/楽天販売、B2B販売、委託販売(Consignment)、データセンターへの機器搬入、自社資産の日本への移転等)
- その他、日本において輸出入者が存在しないご事情等がございましたらご説明ください。
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当社の強み
- 関税・貿易分野における高い専門性:SKアドバイザリー株式会社は、関税・貿易の法律と実務に精通したプロフェッショナル集団です。代表の澤田は通関士資格を有し、貿易会社での実務経験と、世界4大ファームであるKPMG(KPMG税理士法人)での関税コンサルティング経験を経て2020年に独立。関税法を軸とした確かな知識と経験に基づき、丁寧かつ的確なサポートを提供します。また、澤田は世界銀行のビジネス環境調査プロジェクトにおいて、税関・国際貿易分野(日本)の外部専門家を務めています。
- 税関事務管理人および消費税の納税管理人のワンストップ対応:信頼できるパートナー税理士と連携し、税関手続きの代理人(税関事務管理人<ACP>)と国税・税務署での消費税手続きの代理人(消費税の納税管理人<JCT Tax Representative>)の両方を包括的にサポートすることができます。
- 関係法令コンプライアンスの徹底:輸出入に係る関係法令の遵守を最優先に取り組んでいます。税関等当局との協議相談をクライアントに代わり実施し、適正な輸出入オペレーション構築を支援します。
- 英語・中国語でのコミュニケーション:英語でのコミュニケーション(英語会議のファシリテーション含む)を得意とし、クライアントからの厚い信頼を得ています。中国語でのコミュニケーションができるスタッフも揃えています。
- 豊富な実績と信頼:年間100社程度の税関事務管理人の登録を行い、ほぼ全てのクライアントが問題無く輸出入を実施できています。
- 他法令対象物品への対応体制:電気用品安全法(PSE)対象製品や、食品・食器(食品衛生法)などの各種法令対象物品についても、輸入支援が可能です。
- Amazon SPN (Service Provider Network) 公認 サービスプロバイダー:Amazon SPN の公認サービスプロバイダーとして、税関事務管理人サービスを提供しています。(税関事務管理人/貿易コンプライアンス分野)

日本税関の制度改正(輸入者の意義の明確化)
2023年10月1日からの制度改正により、*ACP 税関事務管理人を利用して外国法人自らが*IOR 輸入者にならなければならない(他の者を名義上だけ輸入者とすることは認めない)ケースが増えています。
例えば、外国法人自らがIOR 輸入者とならずに、何ら売買にも関与しないフォワーダー・通関業者その他第三者をIOR 輸入者に名義上仕立てている場合、輸入者として認められない可能性が高く、注意が必要です。
改正の内容(輸入者の定義)を踏まえると、基本的に輸入者になれる者は以下のいずれかである必要があります。
(1) 通常の海外の売手と日本の買手による売買取引(輸入取引)による輸入:荷受人等
(2) (1)以外の形態で輸入する場合:
- 輸入申告時点において、「輸入後の貨物の処分権限を有する者」 又は、
- 「輸入の目的たる行為を行う者(以下例示)」
・ 賃貸借契約に基づき輸入される貨物は、当該貨物を賃借して使用する者
・ 委託販売のために輸入される貨物は、当該貨物の販売の委託を受けて自己(受託者)の名義をもって販売する者
・ 加工・修繕のために輸入される貨物は、当該貨物を加工・修繕する者
・ 滅却するために輸入される貨物は、当該貨物を滅却する者
*本改正において、「処分権限を有する者」が輸入者の意義として明確に位置付けられた点は、特筆すべき変更といえます。ここでいう「処分権限」とは、関税関係法令に明文の定義規定はないものの、税関への確認によれば、「貨物を国内に引き取った後に当該貨物をいかに取り扱うかを決定する権限であり、例えば、当該貨物を販売するか否か、または売買契約に合意するか否かを決定する権限等」を意味します。
*ACP = Attorney for Customs Procedures *IOR = Importer of Record
改正の内容(2023年10月1日施行)
輸入者の定義
(1) 輸入取引により輸入される貨物については、関税法基本通達6-1⑴に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。・・(通常の海外の売手と日本の買手による売買取引により輸入された場合の荷受人等)
(2) 上記以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。
輸入の目的たる行為を行う者の例示
・ 賃貸借契約に基づき輸入される貨物は、当該貨物を賃借して使用する者
・ 委託販売のために輸入される貨物は、当該貨物の販売の委託を受けて自己(受託者)の名義をもって販売する者
・ 加工・修繕のために輸入される貨物は、当該貨物を加工・修繕する者
・ 滅却するために輸入される貨物は、当該貨物を滅却する者
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