原則、輸入申告名義人のみ輸入消費税の仕入税額控除をすることができる

保税地域から引き取られる外国貨物に係る消費税(以下、輸入消費税)の納税義務者は、当該貨物を保税地域から引き取る者であり、基本的には、関税法上の「輸入者」と一致します。

関税法上の輸入者とは、納税義務者である「輸入申告名義人」とされています(関税法第6条、関税法第7条1項関税法基本通達7-1)。この輸入申告名義人は、課税貨物の申告納税義務者であることから、同名義人である事業者は、消費税法上、課税貨物に係る消費税について仕入税額控除の対象とすることができるとされています(消費税法第30条1項3号及び4号)

なお、2023年10月1日の関税法基本通達改正により、「輸入者」の定義および要件が厳格化されました。これにより、売買取引における買手や貨物の処分権を有する者等、取引に実質的に関与する主体のみが輸入者として認められ、取引に関与しない第三者が名義を貸し借りすることは認められていません。

日本国内に事務所等を有しない外国法人(非居住者)であっても、当社の税関事務管理人(ACP)サービスを活用することで、非居住者自身が適正な「輸入者・輸入申告名義人」となることが可能です。これにより、輸入消費税の仕入税額控除、および状況に応じた還付を受ける権利を確保できます。当社では、このスキームを通じて適正な還付を実現させた実績を多数有しております。

実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合

東京地裁平成20年2月20日判決において、「原則として、課税事業者が自ら輸入段階で納付した税額を控除する仕組みであることを念頭に置いたものと解すべきである。特段の事情が無い限り、輸入消費税の申告名義人でない原告が課税事業者として納付すべき消費税において控除されることはないと解すべきである。」とし、納税義務者が第三者名義で納税申告することは法が予定していないことが示されています。

つまり、実務上の原則として「輸入申告名義人(輸入者)のみが、輸入消費税の仕入税額控除を受ける権利を有する」ということが改めて裏付けられています。したがって、適正な還付を受けるためには、単に税金を負担するだけでなく、適切な名義で輸入申告を行うことがコンプライアンス上極めて重要となります。

実務上は、まずもって輸入申告名義人でない者が輸入消費税の仕入税額控除が認められることは無いと考えるべきでしょう。

特段の事情を以て輸入申告名義人でない者の仕入税額控除を認め得る特例として存在するのは、消費税法基本通達11-1-6「実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合の取扱い」が挙げられます。

同通達は、輸入申告名義人が関税の割当制度又は関税の軽減又は免除を受けるため一定の資格者が輸入申告をしなければならない場合(これに該当する場合を「限定申告」という。)においては、実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合でも、次の要件のいずれにも該当すれば、実質的な輸入者がその課税貨物について納付した消費税を仕入税額控除の対象とすることが認められているものです。

(1)実質的な輸入者が、輸入申告後にその課税貨物を輸入申告名義人 (製造者等)に有償で譲渡するものである。
(2)実質的な輸入者が、その課税貨物の引取 りに係る消費税額等を負担するものである。
(3)実質的な輸入者が、輸入申告者名義の輸入許可書及び同名義の引取りに係る消費税等の領収証書の原本を保存するものである。

2023年10月1日関税法基本通達の改正「輸入者」の厳格化

2023年10月1日の関税法基本通達改正により、「輸入者(輸入申告名義人)」となれる者の定義が厳格化されました。現在、適正な輸入者として認められるのは、具体的に以下のいずれかに該当する者に限定されています(関税法基本通達67-3-3の2)

(1) 輸入取引(海外の売手と日本の買手との売買取引により輸入されるもので日本の買手が輸入者になるもの)により輸入される貨物については、関税法基本通達6-1(1)に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。

(2) 上記(1)以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。

実務上の解釈と当社の見解: この改正により、日本国内に事務所等を有しない外国法人(非居住者)が日本へ貨物を持ち込む際、以下の形態は引き続き正当な輸入者として認められます。
・日本の顧客との売買取引に基づき、日本の買手側が輸入者となる形態
・貨物の処分権限を有する非居住者自らが(税関事務管理人:ACPを選任して)輸入者となる形態

一方で、処分権限を有さず、かつ取引に実質的に関与しない第三者を単なる「名義貸し」として輸入者(輸入申告名義人)に据えることは、明確に否定されています。

貨物の処分権限を有する非居住者自らが(税関事務管理人:ACPを選任して)輸入者となる形態

当社サービスによるソリューション: 日本国内に事務所を持たない非居住者の皆様でも、当社の税関事務管理人(ACP)サービスを活用することで、非居住者自身が法令に準拠した「輸入者・輸入申告名義人」となることが可能です。
これにより、輸入消費税の仕入税額控除、および還付を受ける権利を適正に確保できます。当社では、この法令に則ったスキームを通じて、多数の仕入税額控除(および還付)を実現させてきた確かな実績がございます。

*本改正において、「処分権限を有する者」が輸入者の意義として明確に位置付けられた点は、特筆すべき変更といえます。ここでいう「処分権限」とは、関税関係法令に明文の定義規定はないものの、税関への確認によれば、「貨物を国内に引き取った後に当該貨物をいかに取り扱うかを決定する権限であり、例えば、当該貨物を販売するか否か、または売買契約に合意するか否かを決定する権限等」を意味します。

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