更新 2024年5月5日 by SKアドバイザリー株式会社

輸入申告価格の決定方式(関税評価)に係る考え方について

海外の売手と日本の買手がいて、その買手が輸入者となる売買取引による輸入(関税法上の「輸入取引」)の場合、その取引価格をCIFベースに調整した価格を申告価格とすることが可能です。これを原則的な決定方法と言います(関税定率法第4条第1項)。

しかし、アマゾンFBA貨物に見られるように、海外のアマゾンセラーが自ら貨物の所有権を維持したまま日本のアマゾンFC倉庫に持ち込む場合には、上記の原則的な決定方法は用いることができず、関税定率法上の規定に基づき、例外的な申告価格決定方式に基づき輸入申告価格を決定する必要があります(関税定率法第4条の2以降)。

アマゾンFBA貨物の輸入申告価格は「例外的な決定方法」のうち、(関税定率法第4条の4、特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定に基づき、定率法第4条の3の国内販売価格に基づく課税価格の決定方式を準用し、)国内販売予定価格から一定の国内発生費用(輸入時の関税及び消費税、Amazon Referral Fee, Amazon FBA Fee, 国内輸送費用等)を控除した価格方式、いわゆる逆算方式がよく用いられています。

 

逆算方式(国内販売価格から一定の国内費用等を控除して輸入申告価格を求める方式)

逆算方式の計算方式は以下の通りです。

ステップ1)国内販売価格 ー アマゾン販売手数料 ー フルフィルメントコスト ー その他控除可能な国内費用(通関費用や国内運送費用等)

例:販売価格 74,500 JPY – 控除費用 (11,175 JPY + 2,755 JPY) = 60,570 JPY

 

ステップ2)ステップ1で求めた価格を関税及び消費税率で割り戻す。関税率はHSコードによって異なるためHSコード確認後に確定。

例:60,570 JPY ÷ 110% = 55,063 JPY

 

55,063 JPY が、製品1個辺りの輸入申告価格となります。

 

 

国内販売価格と控除費用のエビデンス資料

上記計算に用いた国内販売価格と控除費用についてエビデンス資料の税関への提出が必要となります。

 

販売価格のエビデンス: アマゾン販売ウェブサイトページのスクリーンショット [www.amazon.co.jp/dp/ASIN番号]

 

販売価格及び控除費用のエビデンス:アマゾン・セラーセントラル内のコストシミュレーターのスクリーンショット

 

コストレポート:状況に応じ、”Fulfillment by Amazon Cost Report”の提出が求められます。

 

 

SKアドバイザリー株式会社は、関税法に精通した税関事務管理人(ACP)のプロフェッショナルとして、数多くのアマゾンセラーの輸入申告価格算出をサポートしています。必要なスクリーンショット取得から計算フォーマットの完成まで、輸入に必要な全ての書類作成をサポートします。

 

 

 

当社の御客様

 

税関事務管理人(ACP)サービス

基本業務スコープ(税関事務管理人としてサポートさせていただく主な業務内容)

  • 税関への税関事務管理人(ACP)届出に必要な書類一式の準備、届出作業
  • インボイス等の輸入関係書類の準備
  • 税関、物流会社/通関業者その他関係者との協議調整
  • 適正な関税評価(輸入申告価格)の確認
  • 税番(HSコード)、関税率、関税評価、原産地等の確認(事前教示等)
  • 輸出管理、安全保障貿易管理業務(リスト規制の該非判定、キャッチオール規制含む取引審査、経済産業省への許可申請等)
  • その他関税関連に関するアドバイザリーサービス
  • 関税法上必要な帳簿の保存 など

※ACP 税関事務管理人を利用することで、輸入(非居住者を輸入者(IOR – Importer of Record)とする)及び輸出(非居住者を輸出者(EOR – Exporter of Record)とする)のいずれのケースにおいても同様にサポート可能です。

 

大まかなステップ

  • 見積書確認~契約締結:  必要情報(下記参照)を頂いたらすぐに見積書提出いたします。    
  • 税関へのACP 税関事務管理人の届出開始:  概ね2週間程度で完了します。
  • 初回出荷、輸出入の開始:  フォワーダー/通関業者はクライアント側でご手配下さい。当社にて紹介することも可能です。

 

お見積りに関して

問い合わせページよりご連絡下さい。以下について御連絡いただきましたら迅速に御見積提出いたします。

  • 輸入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
  • 一回の輸入における、おおよその金額規模
  • 輸入の頻度
  • ビジネスモデル(Amazon/楽天、B2B販売、委託販売/Consignment、日本への資産移動など)

 

 

 

税関事務管理人の取扱制限 – 当社体制強化により法令物品も対応可能に

一定の法令、例えば薬機法(化粧品含む)、電気用品安全法(PSE)、消費生活用製品安全法(PSC)、食品衛生法に関しては、輸入者が日本の居住者(法人)であることが求められており、取り扱いに制約が生じます。

しかしながら、当社および関係会社とのパートナーシップ体制を構築し、化粧品、電気用品安全法(PSE)規制製品、食品および食器などの法令物品についても、輸入者・税関事務管理人としての対応が可能となりました。

法令物品を取り扱っていない税関事務管理人も多い中、上記法令物品も対応できるようになったことは当社の強みであります。

 

 

日本税関の制度改正(輸入者の意義の明確化)

2023年10月1日からの制度改正により、*ACP 税関事務管理人を利用して外国法人自らが*IOR 輸入者にならなければならない(他の者を名義上だけ輸入者とすることは認めない)ケースが増えています。

例えば、外国法人自らがIOR 輸入者とならずに、何ら売買にも関与しないフォワーダー・通関業者その他第三者をIOR 輸入者に名義上仕立てている場合、輸入者として認められない可能性が高く、注意が必要です。

改正の内容(輸入者の定義)を踏まえると、基本的に輸入者になれる者は以下のいずれかである必要があります。

(1) 通常の海外の売手と日本の買手による売買取引(輸入取引)による輸入:荷受人等

(2) (1)以外の形態で輸入する場合:

  • 輸入申告時点において、「輸入後の貨物の処分権限を有する者」 又は、
  • 「輸入の目的たる行為を行う者(以下例示)」

・ 賃貸借契約に基づき輸入される貨物は、当該貨物を賃借して使用する者
・ 委託販売のために輸入される貨物は、当該貨物の販売の委託を受けて自己(受託者)の名義をもって販売する者
・ 加工・修繕のために輸入される貨物は、当該貨物を加工・修繕する者
・ 滅却するために輸入される貨物は、当該貨物を滅却する者

 

*ACP = Attorney for Customs Procedures  *IOR = Importer of Record