更新 2025年7月3日 by SKアドバイザリー株式会社
税関 制度見直し|輸入申告者の意義の明確化
日本税関より、発令「輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて」が出ています。2023年10月1日からの改正です。
2023年10月1日からの制度改正により、*ACP 税関事務管理人を利用して外国法人自らが*IOR 輸入者にならなければならない(他の者を名義上だけ輸入者とすることは認めない)ケースが増えています。
通常の海外の売手と日本の買手による売買取引による輸入ではない場合で、「輸入後の貨物の処分権限を有する者」でない者を輸入者にしている場合(例えば、外国法人自らがIOR 輸入者とならずに、何ら売買にも関与しないフォワーダー・通関業者その他第三者をIOR 輸入者に名義上仕立てている場合)、輸入者として認められずに許可が下りない可能性が高く、注意が必要です。
そもそも外国法人自らが輸入者になる(税関事務管理人を利用する)ことで消費税面でのメリットも享受できます。(リンク:税関事務管理人を利用した場合の消費税の取扱い、メリット)
当社は税関事務管理人プロフェッショナルとして法律に則った形で適正に輸入手続きを進めていますので、安心して委任頂くことが可能です。御検討を宜しくお願いいたします。
改正の内容(2023年10月1日施行)
輸入者の定義
(1) 輸入取引により輸入される貨物については、関税法基本通達6-1⑴に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。・・(通常の海外の売手と日本の買手による売買取引により輸入された場合の荷受人等)
(2) 上記以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。
【輸入の目的たる行為を行う者の例示】
・ 賃貸借契約に基づき輸入される貨物は、当該貨物を賃借して使用する者
・ 委託販売のために輸入される貨物は、当該貨物の販売の委託を受けて自己(受託者)の名義をもって販売する者
・ 加工・修繕のために輸入される貨物は、当該貨物を加工・修繕する者
・ 滅却するために輸入される貨物は、当該貨物を滅却する者
税関のガイドライン(Eコマースセラーは自身が輸入者にならなければならない)
こちらの税関のガイドラインにおいて、P2をご覧のとおり、海外のセラーは自身が輸入者(IOR)となる必要があり、非居住者等の場合は税関事務管理人(ACP)を定めなければならないことが明記されています。
- 左側に示されているものは本改正前(2023年9月30日以前)の運用であり、物流業者等(通関業者、倉庫業者等含む)といった第三者が輸入代行者として輸入者とするということが行われていました。
- 一方、右側に示されているのは、本改正後(2023年10月1日以降)の新たな運用であり、海外のセラー自身が輸入者にならなければならないことが示されています。また、「単に通関手続きの委託を受けた者は輸入者とはなれないので御留意下さい」と記載されています。これらの理由は、改正された関税法基本通達により、輸入者の意義が明確化され、輸入の効果が実質的に帰属する者(処分権を有する者等)でなければ輸入者とは認められないという法解釈が徹底されたことにあります。
⚠️ ご注意下さい⚠️
- 日本国内に事務所等を有しない外国法人等(非居住者)の輸入の場合、税関事務管理人(ACP)等を通じて輸入者(IOR)を適切に用意して輸入しなければ、貨物が税関で保留され、多大な遅延と費用が発生するリスクがあります。リスクを回避するために入念に準備して下さい。
- 関税関係法令に精通した経験豊富な税関事務管理人を利用して下さい。税関事務管理人を用いた非居住者/外国法人の輸出入は特殊な取扱いとなりますので、慣れていない通関業者も多く存在し、税関への説明がうまくいかず長期間留められているというトラブルも散見します。(税関は、輸入者・通関業者の説明に納得いかなければ輸入を許可しません。税関が納得するまで貨物は滞留します。)
- 関税関係法令に精通した税関事務管理人の実務専門家である当社を是非ご利用下さい。税関・通関士との直接協議などを通じて数々の問題を解決してきた豊富な実績を有します。当社が税関事務管理人としてサポートした顧客も200社を超えました。業界最前線の成果能力を以て対応いたします。
実績 - 税関事務管理人サービス
これまでに、世界40カ国以上・200社超のお客様(主に外国法人)の日本での輸出入を支援してまいりました。
以下、日本税関の改正に係る案内情報:
(リンク:日本税関 輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて)
令和5年7月
財務省・税関
越境電子商取引の拡大に伴い、通販貨物等の輸入が増加し、不正薬物や知的財産侵害物品等の密輸が多数摘発されています。FS利用貨物については不当に低い価格で輸入申告することで関税等をほ脱するという脱税事案が顕在化しています。
そのような背景を踏まえ、円滑な輸入を引き続き確保し、水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現するための制度見直しを行いました。
直近では、令和5年10月1日から、輸入申告時に記載を求めている「貨物を輸入しようとする者の住所及び氏名」が関税法施行令上の輸入申告項目に追加されることになります。
また、税関事務管理人の届出項目に「届出者と税関事務管理人との関係」等が追加されるとともに、税関事務管理人との委任契約関係書類を添付することになります。
※制度見直しの具体的な内容については、以下の参考資料をご確認ください。
参考資料(日本税関)
リーフレット|輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて
越境電⼦商取引の拡⼤に伴い、通販貨物等の輸入が増加し、不正薬物や知的財産侵害物品等の密輸が多数摘発されています。FS利⽤貨物については不当に低い価格で輸入申告することで関税等をほ脱するという脱税事案が顕在化しています。
そのような背景を踏まえ、引き続き円滑な輸入を確保し、水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現するため、制度の見直しを行いました。
【FS(フルフィルメントサービス)利⽤貨物とは】
ECプラットフォーム運営事業者等が提供するフルフィルメントサービス(購入者の注文受付から配送完了までの⼀連の業務全般(受注、在庫管理、梱包、発送、受渡し、代⾦回収等)を請け負うサービス)を利用して国内で販売することを予定して輸入しようとする貨物のこと。
改正の内容①(令和5年10月1日施行)
- 輸入申告時に記載を求めている「輸入者の住所及び氏名」を関税法施行令上の輸入申告項目に追加
- 上記「輸入者の住所及び氏名」の追加に伴い、輸入申告者(貨物を輸入しようとする者)の意義を明確化 ⇒裏面参照
- 税関事務管理人の届出項目への「届出者と税関事務管理人との関係」等の追加及び税関事務管理人届出の際の税関事務管理人との委任契約関係書類の提出
- 税関長が非居住者等に税関事務管理人の選定・届出等を要請し、非居住者が期限までに要請に応じない場合に、税関長が、非居住者の一定の国内関連者を税関事務管理人として指定することを可能とする規定を整備
改正の内容②(令和7年10月12日施行)
輸入申告項目に以下の項目を追加
- 通販貨物に該当するか否か
- 通販貨物に該当する場合、プラットフォームの名称・呼称等
- 輸入許可後の貨物の運送先の所在地・名称
※ NACCSによるシステム申告の詳細については、今後お知らせします。
【関係法令:輸入申告項目(施行後)】
○ 関税法施行令第59条、関税法施行規則第7条の6
【関係法令:税関事務管理人(施行後) 】
○ 関税法第95条、関税法施行令第84条、第84条の2、関税法施行規則第11条の2、第11条の3
輸入申告者の意義の明確化
輸入申告者(貨物を輸入しようとする者)は、輸入貨物に係る情報を把握して、責任をもって適正な輸入申告を行う必要があることから、関税法基本通達の規定により輸入申告者の意義を明確化しましたので、輸入申告時にはご留意ください。
通達改正の内容(令和5年10月1日施行)
(1) 輸入取引により輸入される貨物については、関税法基本通達6-1⑴に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。・・(通常の海外の売手と日本の買手による売買取引により輸入された場合の荷受人等)
(2) 上記以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。
【輸入の目的たる行為を行う者の例示】
・ 賃貸借契約に基づき輸入される貨物は、当該貨物を賃借して使用する者
・ 委託販売のために輸入される貨物は、当該貨物の販売の委託を受けて自己(受託者)の名義をもって販売する者
・ 加工・修繕のために輸入される貨物は、当該貨物を加工・修繕する者
・ 滅却するために輸入される貨物は、当該貨物を滅却する者
【輸入申告者が変更になる例】
輸入申告者の意義の明確化に関する事例集
事例(FS利用貨物の輸入の場合①)
非居住者である販売者が販売する貨物を、ECプラットフォーム事業者が提供するフルフィルメントサービス(FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入する。(輸入申告の時点では販売者と消費者との間で売買契約が行われていない。)
国内引取り後にECプラットフォームでの販売の主体となることが予定されており、輸入の目的に従い貨物の販売を行おうとする販売者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う必要がある。
事例(FS利用貨物の輸入の場合②)
非居住者である販売者が販売する貨物を、ECプラットフォーム事業者が提供するフルフィルメントサービス(FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入する。(輸入申告の時点では販売者と消費者との間で売買契約が行われていない。)
販売者(非居住者)は、日本国内での通関手配を事業者A(国内所在)に委託しているが、FSを利用した国内における当該貨物の販売の主体はあくまでも販売者(非居住者)である。
国内引取り後にECプラットフォームでの販売の主体となることが予定されており、輸入の目的に従い貨物の販売を行おうとする販売者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う必要がある。
事例(FS利用貨物の輸入の場合③)
非居住者である販売者が販売する貨物を、ECプラットフォーム事業者が提供するフルフィルメントサービス(FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入する。(輸入申告の時点では販売者と消費者との間で売買契約が行われていない。)
販売者(非居住者)は、海外の販売者の貨物の日本への運送等を海外のフォワーダーに委託しているが、FSを利用した国内における当該貨物の販売の主体はあくまでも販売者(非居住者)である。
国内引取り後にECプラットフォームでの販売の主体となることが予定されており、輸入の目的に従い貨物の販売を行おうとする販売者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う必要がある。
事例(委託販売貨物の輸入の場合)
委託者(非居住者)から国内販売の委託を受けた受託者により国内で販売することを予定している貨物(委託販売貨物)を、輸入する。輸入された貨物は、FS倉庫に入れられ、受託者の名前でECプラットフォームで販売される。FSを利用した国内における当該貨物の販売の主体は受託者である。
以下のいずれかによる必要がある。
① 委託販売貨物の処分の権限を有している委託者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う。
② 自らの名義により国内販売を行う受託者(すなわち、ECプラットフォームにおける出品者)が、輸入の目的たる行為(委託を受けての販売)を行う者として輸入申告者となり、輸入申告を行う。
税関事務管理人(ACP)サービス
基本業務スコープ(税関事務管理人としてサポートさせていただく主な業務内容)
- 税関への税関事務管理人(ACP)届出に必要な書類一式の準備、届出作業
- インボイス等の輸入関係書類の準備
- 税関、物流会社/通関業者その他関係者との協議調整
- 適正な関税評価(輸入申告価格)の確認
- 税番(HSコード)、関税率、関税評価、原産地等の確認(事前教示等)
- 輸出管理、安全保障貿易管理業務(リスト規制の該非判定、キャッチオール規制含む取引審査、経済産業省への許可申請等)
- その他関税関連に関するアドバイザリーサービス
- 関税法上必要な帳簿の保存 など
※ACP 税関事務管理人を利用することで、輸入(非居住者を輸入者(IOR - Importer of Record)とする)及び輸出(非居住者を輸出者(EOR - Exporter of Record)とする)のいずれのケースにおいても同様にサポート可能です。
大まかなステップ
- 見積書確認~契約締結: 必要情報(下記参照)を頂いたらすぐに見積書提出いたします。
- 税関へのACP 税関事務管理人の届出開始: 概ね2週間程度で完了します。
- 初回出荷、輸出入の開始: フォワーダー/通関業者はクライアント側でご手配下さい。当社にて紹介することも可能です。
お見積りに関して
問い合わせページよりご連絡下さい。以下について御連絡いただきましたら迅速に御見積提出いたします。
- 輸入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
- 一回の輸入における、おおよその金額規模
- 輸入の頻度
- ビジネスモデル(Amazon/楽天、B2B販売、委託販売/Consignment、日本への資産移動など)
当社の強み
- 関税・貿易分野における高い専門性:SKアドバイザリー株式会社は、関税・貿易の法律と実務に精通したプロフェッショナル集団です。代表の澤田は通関士資格を有し、貿易会社での実務経験と、世界4大ファームであるKPMG(KPMG税理士法人)での関税コンサルティング経験を経て2020年に独立。関税法を軸とした確かな知識と経験に基づき、丁寧かつ的確なサポートを提供します。
- 税関事務管理人および消費税の納税管理人のワンストップ対応:信頼できるパートナー税理士と連携し、税関手続きの代理人(税関事務管理人<ACP>)と国税・税務署での消費税手続きの代理人(消費税の納税管理人<JCT Tax Representative>)の両方を包括的にサポートすることができます。
- 関係法令コンプライアンスの徹底:輸出入に係る関係法令の遵守を最優先に取り組んでいます。税関等当局との協議相談をクライアントに代わり実施し、適正な輸出入オペレーション構築を支援します。
- 英語・中国語でのコミュニケーション:英語でのコミュニケーション(英語会議のファシリテーション含む)を得意とし、クライアントからの厚い信頼を得ています。中国語でのコミュニケーションができるスタッフも揃えています。
- 豊富な実績と信頼:年間80社程度の税関事務管理人の登録を行い、ほぼ全てのクライアントが問題無く輸出入を実施できています。
- 他法令物品対応の体制強化:当社および関係会社とのパートナーシップ体制を構築し、化粧品(薬機法)、電気用品安全法(PSE)規制製品、食品および食器(食品衛生法)などの法令物品についても輸入者・税関事務管理人としての対応が可能となりました。
- Amazon SPN (Service Provider Network) 公認 サービスプロバイダー:Amazon SPN の公認サービスプロバイダーとして、税関事務管理人サービスを提供しています。(税関事務管理人/貿易コンプライアンス分野)
消費税の納税管理人とは? なぜ必要なのか?
日本の消費税(JCT - Japan Consumption Tax)の納税義務のある外国法人(非居住者等)は、日本国内で税務手続きを代理する「JCT 納税管理人」の選任が法的に義務付けられています。
たとえば、外国法人が日本の顧客に対して商品を販売する場合、通常その売上に対して10%の消費税を受け取ります。この消費税は、原則として日本の国税(税務署)に申告納付する必要があります(ただし、免税事業者に該当する場合を除く。)。
消費税の納税義務がある、または自ら課税事業者又は適格請求書発行事業者として登録した場合には、日本国内に拠点がない外国法人でも、税務申告を行うために納税管理人の選任が必須です。
消費税の納税申告をする際に、輸入時に支払った輸入消費税につき、売上にかかる受け取った消費税と相殺(仕入税額控除)することが可能です。輸入時の消費税の方が売上により受け取った消費税より方が多ければ差額は還付されることになりますし、売上にかかる消費税の方が多ければ、仕入税額との差額を納付することになります。
※「税関事務管理人(ACP)」は、税関手続きのための代理人ですから、国税(税務署)手続きのための代理人を別途定める必要があるということになります。
当社の消費税・納税管理人サービスについて
SKアドバイザリー株式会社では、税関手続きを代理する「税関事務管理人(ACP)」と、消費税の国税(税務署)手続きを代理する「納税管理人(JCT Tax Representative)」を包括的にサポートする「ワンストップサービス」を提供いたします。
提携する信頼性の高いパートナー税理士との連携により、当社が税関事務管理人としての業務を担うとともに、税理士と綿密に情報共有・連携を行うことで、輸入時に支払った消費税の適正な控除・還付を実現させます。
税関事務管理人 (ACP) おすすめ 情報:
食品衛生法の関連貨物(食品、食器類など)のACP 税関事務管理人/IOR 輸入者サービス
3-税関事務管理人の取扱制限 - 当社体制強化により法令物品も対応可能に
6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, DDP取引など)
9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット
11-税関事務管理人の届出代行申請、輸出入の代行業務サポート