税関 制度見直し|税関事務管理人の利用指示
日本税関より、発令「輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて」が出ています。2023年10月1日からの改正です。
アマゾンや楽天等のE-コマース向けの貨物で、不適切な形でフォワーダーや通関業者等を輸入者に仕立てて不当に低い申告価格で輸入するという事例が後を絶たず、それに対応するために非居住者を輸入者にする(税関事務管理人を利用する)ことを税関が要求するものです。場合によっては、税関側が税関事務管理人を指定することも可能にするとのこと。
フォワーダーや通関業者等を輸入者として使われている非居住者/外国法人で、法律順守の上適正に対応しているか不明な場合、早急に税関事務管理人の選定利用に切り替えることを推奨します。特に輸入申告価格が適正かどうか、見直しを御願いします(当社で検証することも可能です)。また、税関事務管理人を利用することで消費税面でのメリットも享受できます。 (リンク:税関事務管理人を利用した場合の消費税の取扱い、メリット)
当社は税関事務管理人プロフェッショナルとして法律に則った形で適正に輸入手続きを進めていますので、安心して委任頂くことが可能です。御検討を宜しくお願いいたします。
以下、日本税関の改正に係る案内情報:
(リンク:日本税関 輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて)
令和5年7月
財務省・税関
越境電子商取引の拡大に伴い、通販貨物等の輸入が増加し、不正薬物や知的財産侵害物品等の密輸が多数摘発されています。FS利用貨物については不当に低い価格で輸入申告することで関税等をほ脱するという脱税事案が顕在化しています。
そのような背景を踏まえ、円滑な輸入を引き続き確保し、水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現するための制度見直しを行いました。
直近では、令和5年10月1日から、輸入申告時に記載を求めている「貨物を輸入しようとする者の住所及び氏名」が関税法施行令上の輸入申告項目に追加されることになります。
また、税関事務管理人の届出項目に「届出者と税関事務管理人との関係」等が追加されるとともに、税関事務管理人との委任契約関係書類を添付することになります。
※制度見直しの具体的な内容については、以下の参考資料をご確認ください。
参考資料(日本税関)
・輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて【リーフレット】
・輸入申告者の意義の明確化に関する事例集
・税関事務管理人届出書(税関様式)の改正について
リーフレット|輸入申告項目・税関事務管理人制度の見直しについて
越境電⼦商取引の拡⼤に伴い、通販貨物等の輸入が増加し、不正薬物や知的財産侵害物品等の密輸が多数摘発されています。FS利⽤貨物については不当に低い価格で輸入申告することで関税等をほ脱するという脱税事案が顕在化しています。
そのような背景を踏まえ、引き続き円滑な輸入を確保し、水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現するため、制度の見直しを行いました。
【FS(フルフィルメントサービス)利⽤貨物とは】
ECプラットフォーム運営事業者等が提供するフルフィルメントサービス(購入者の注文受付から配送完了までの⼀連の業務全般(受注、在庫管理、梱包、発送、受渡し、代⾦回収等)を請け負うサービス)を利用して国内で販売することを予定して輸入しようとする貨物のこと。
改正の内容①(令和5年10月1日施行)
- 輸入申告時に記載を求めている「輸入者の住所及び氏名」を関税法施行令上の輸入申告項目に追加
- 上記「輸入者の住所及び氏名」の追加に伴い、輸入申告者(貨物を輸入しようとする者)の意義を明確化 ⇒裏面参照
- 税関事務管理人の届出項目への「届出者と税関事務管理人との関係」等の追加及び税関事務管理人届出の際の税関事務管理人との委任契約関係書類の提出
- 税関長が非居住者等に税関事務管理人の選定・届出等を要請し、非居住者が期限までに要請に応じない場合に、税関長が、非居住者の一定の国内関連者を税関事務管理人として指定することを可能とする規定を整備
改正の内容②(令和7年10月12日施行)
輸入申告項目に以下の項目を追加
- 通販貨物に該当するか否か
- 通販貨物に該当する場合、プラットフォームの名称・呼称等
- 輸入許可後の貨物の運送先の所在地・名称
※ NACCSによるシステム申告の詳細については、今後お知らせします。
【関係法令:輸入申告項目(施行後)】
○ 関税法施行令第59条、関税法施行規則第7条の6
【関係法令:税関事務管理人(施行後) 】
○ 関税法第95条、関税法施行令第84条、第84条の2、関税法施行規則第11条の2、第11条の3
輸入申告者の意義の明確化
輸入申告者(貨物を輸入しようとする者)は、輸入貨物に係る情報を把握して、責任をもって適正な輸入申告を行う必要があることから、関税法基本通達の規定により輸入申告者の意義を明確化しましたので、輸入申告時にはご留意ください。
通達改正の内容(令和5年10月1日施行)
輸入取引により輸入される貨物については、関税法基本通達6-1⑴に規定する「貨物を輸入する者」と同様とする。
○ 上記以外の場合には、輸入申告の時点において、国内引取り後の輸入貨物の処分の権限を有する者をいい、その者以外に輸入の目的たる行為を行う者がある場合にはその者を含むものとする。
【輸入の目的たる行為を行う者の例示】
・ 賃貸借契約に基づき輸入される貨物は、当該貨物を賃借して使用する者
・ 委託販売のために輸入される貨物は、当該貨物の販売の委託を受けて販売する者
・ 加工・修繕のために輸入される貨物は、当該貨物を加工・修繕する者
・ 滅却するために輸入される貨物は、当該貨物を滅却する者
【輸入申告者が変更になる例】
輸入申告者の意義の明確化に関する事例集
事例(FS利用貨物の輸入の場合①)
非居住者である販売者が販売する貨物を、ECプラットフォーム事業者が提供するフルフィルメントサービス(FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入する。(輸入申告の時点では販売者と消費者との間で売買契約が行われていない。)
国内引取り後にECプラットフォームでの販売の主体となることが予定されており、輸入の目的に従い貨物の販売を行おうとする販売者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う必要がある。
事例(FS利用貨物の輸入の場合②)
非居住者である販売者が販売する貨物を、ECプラットフォーム事業者が提供するフルフィルメントサービス(FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入する。(輸入申告の時点では販売者と消費者との間で売買契約が行われていない。)
販売者(非居住者)は、日本国内での通関手配を事業者A(国内所在)に委託しているが、FSを利用した国内における当該貨物の販売の主体はあくまでも販売者(非居住者)である。
国内引取り後にECプラットフォームでの販売の主体となることが予定されており、輸入の目的に従い貨物の販売を行おうとする販売者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う必要がある。
事例(FS利用貨物の輸入の場合③)
非居住者である販売者が販売する貨物を、ECプラットフォーム事業者が提供するフルフィルメントサービス(FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入する。(輸入申告の時点では販売者と消費者との間で売買契約が行われていない。)
販売者(非居住者)は、海外の販売者の貨物の日本への運送等を海外のフォワーダーに委託しているが、FSを利用した国内における当該貨物の販売の主体はあくまでも販売者(非居住者)である。
国内引取り後にECプラットフォームでの販売の主体となることが予定されており、輸入の目的に従い貨物の販売を行おうとする販売者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う必要がある。
事例(委託販売貨物の輸入の場合)
委託者(非居住者)から国内販売の委託を受けた受託者により国内で販売することを予定している貨物(委託販売貨物)を、輸入する。輸入された貨物は、FS倉庫に入れられ、受託者の名前でECプラットフォームで販売される。FSを利用した国内における当該貨物の販売の主体は受託者である。
以下のいずれかによる必要がある。
① 委託販売貨物の処分の権限を有している委託者(非居住者)が、輸入申告者となり、税関事務管理人を定めて輸入申告を行う。
② 自らの名義により国内販売を行う受託者(すなわち、ECプラットフォームにおける出品者)が、輸入の目的たる行為(委託を受けての販売)を行う者として輸入申告者となり、輸入申告を行う。
6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, VMI, データセンターなど)
9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット