更新 2025年4月17日 by SKアドバイザリー株式会社

海外販売者は安易に他の日本法人をIOR輸入者にしてはならない

別記事(税関 制度見直し|輸入者の意義の明確化)でも述べたように、2023年10月以降、海外の販売者(特にアマゾン、楽天、ShopifyなどのEコマース/通販サイト出品者)は、ACP 税関事務管理人を利用し、海外の販売者自身がIOR 輸入者になることが原則となった。したがって、名義上だけ他の日本法人をIOR 輸入者にするようなスキームは認められなくなった。このような明確な指示があるにもかかわらず、特定のIOR事業者が無許可のIOR名義貸しサービスを提供しているケースが散見されている。

問題となるような行為は横行しており、ゆえに注意喚起として本記事を掲載する。出品者側も、日本でビジネスを行うのであるから、正しい法令制度の理解に努め、不当に日本の市場競争環境を阻害するのは慎んでいただきたい。  

 

問題行為

あたかも海外事業者と日本のIOR事業者(単に名義上、輸入者になっているに過ぎない)の間で売買取引がなされているかのようにインボイス等の書類を取り繕い、製造原価程度の低価インボイス価格(申告価格が違法に過少であることが殆ど)を用いて輸入通関が行われているケースがある。貨物は、アマゾン等のフルフィルメント倉庫には直接送付されずに、一旦国内の倉庫に入れ、そこでアマゾン等のラベルを貼付して最終的なフルフィルメント倉庫に送られるというスキームである。

輸入時の書類には、送り先としてEコマース倉庫の情報が掲載されず、また貨物そのものにもEコマースのラベルは見当たらない。こうすることで、Eコマース製品であるとの税関の指摘から逃れるというものである。このような行為は、法令に則っていない行為であり、直ちに止めていただくように願いたい。

法令に則らず輸入している場合、大抵、輸入申告価格が過少であることから、仮に通関時に輸入許可が出たとしても、その後の税関事後調査により多額のペナルティを支払うことになる。その際の支払責任は法令上IOR 輸入者にあり、IOR事業者がその責務を負うことになるが、恐らく実質的には輸入に係る関税・消費税等を負担しているのは海外事業者であるから、海外事業者とIOR事業者との間でトラブルになることも安易に想像できる。

知識が無いまま法に則らないスキームにより輸入を進めた海外事業者にも責任はあるし、IOR事業者の方の責任は言うまでもない。

アマゾン等のEコマースプラットフォームで、極めて安い価格で海外セラーの製品が販売されているのを見ると、どうしてもフェアな市場競争環境になっていないような印象を抱く。真面目な海外事業者は適切に税金を支払い、当然そのコストに利益を上乗せして販売価格を設定するから、不当に税金を払っていないセラーとの価格競争に劣後してしまうのである。それは正しいビジネス環境とは言えないし、このような背景があるからこそ、今般2023年10月の税関制度改正に至ったわけである。

コンプライアンス意識の低い事業者であれば、恐らく申告価格だけの問題でもないであろう。実際に蓋を開けてみると知的財産関係や他法令の法令遵守もできていないケースも多いのではなかろうか。  

 

 

⚠️ ご注意下さい⚠️ 

  • 日本国内に事務所等を有しない外国法人等(非居住者)の輸入の場合、税関事務管理人(ACP)等を通じて輸入者(IOR)を適切に用意して輸入しなければ、貨物が税関で保留され、多大な遅延と費用が発生するリスクがあります。リスクを回避するために入念に準備して下さい。
  • 関税関係法令に精通した経験豊富な税関事務管理人を利用して下さい。税関事務管理人を用いた非居住者/外国法人の輸出入は特殊な取扱いとなりますので、慣れていない通関業者も多く存在し、税関への説明がうまくいかず長期間留められているというトラブルも散見します。(税関は、輸入者・通関業者の説明に納得いかなければ輸入を許可しません。税関が納得するまで貨物は滞留します。)
  • 関税関係法令に精通した税関事務管理人の実務専門家である当社を是非ご利用下さい。税関・通関士との直接協議などを通じて数々の問題を解決してきた豊富な実績を有します。当社が税関事務管理人としてサポートした顧客も200社を超えました。業界最前線の成果能力を以て対応いたします。

 

 

関税評価 / 輸入申告価格のコスト影響は気にし過ぎないこと

アマゾン等のEコマース貨物を、海外出品者が輸入する場合、それは税関事務管理人を使った場合であっても他のIOR事業者が輸入者になった場合であっても、そこには「輸入取引(日本の買手との売買取引)」は存在しないため、例外的な決定方式、主には国内販売価格を輸入申告価格として用いることになる。

国内販売価格を用いると評価額が高過ぎて関税・消費税が高額になるため避けたい、といった声もよく聞く。しかし、評価額がもたらすコストインパクトはさほど気にすることではないということを強調したい。

輸入申告価格に基づき課される輸入に係る税金は、主に関税と消費税の2種類である。

関税は、HSコードごとに決まっている関税率を、申告価格に乗じて算出するが、日本の輸入関税率は世界的に見てもかなり低いものである。工業製品などは殆ど関税無税である。

次に消費税、これは一律10%が発生するのだが、消費税というのはそもそも最終消費者が負担する間接税であるから、海外事業販売者のコストと見るべき性格のものではない。仮に消費税の免税事業者であれば、(1)輸入時に輸入消費税を納め、(2)輸入後の国内販売時に消費者から販売消費税を貰う、したがってコストにはならない。

仮に消費税の課税事業者であれば、上記(1)(2)に加え、定期的に税務署に対し消費税の確定申告を行い、(1)と(2)の差額を還付、又は納付するだけであり、コストにはならない。しかし、海外事業者自らが輸入者になることが条件である。ACP 税関事務管理人を利用しなければ、自らが輸入者になることはできない点に留意されたい。

2023年10月からの消費税インボイス制度が開始し、インボイス登録事業者になっている海外事業者も多いのではなかろうか。インボイス登録事業者は、税務署への消費税の確定申告は必須である。

B2C 消費者向けビジネスであれば、必ずしもインボイス登録事業者になる必要も無いが、それでも制度をよく理解しないままインボイス登録事業者になっている会社も多いように見受けられる。海外事業者におかれては、適切な専門家からアドバイスを得るよう検討することを推奨する。

 

 

当社は、通関と税務の交差点にある複雑な課題にも精通しており、両面から実務的にご支援できることが、他社にはない大きな強みです。関税と国税の密接な関係を的確に理解し、包括的に対応することは、国際取引において極めて重要です。

 

 

 

当社の御客様(税関事務管理人サービス)

 

連携実績のある国際物流会社の例

数多くの物流会社様との連携実績があります。当社は、税関事務管理人としての役割を担い、物流会社様に物流・通関・倉庫業務などの対応をいただいています。

 

 

 

税関事務管理人(ACP)サービス

基本業務スコープ(税関事務管理人としてサポートさせていただく主な業務内容)

  • 税関への税関事務管理人(ACP)届出に必要な書類一式の準備、届出作業
  • インボイス等の輸入関係書類の準備
  • 税関、物流会社/通関業者その他関係者との協議調整
  • 適正な関税評価(輸入申告価格)の確認
  • 税番(HSコード)、関税率、関税評価、原産地等の確認(事前教示等)
  • 輸出管理、安全保障貿易管理業務(リスト規制の該非判定、キャッチオール規制含む取引審査、経済産業省への許可申請等)
  • その他関税関連に関するアドバイザリーサービス
  • 関税法上必要な帳簿の保存 など

※ACP 税関事務管理人を利用することで、輸入(非居住者を輸入者(IOR - Importer of Record)とする)及び輸出(非居住者を輸出者(EOR - Exporter of Record)とする)のいずれのケースにおいても同様にサポート可能です。

 

大まかなステップ

  • 見積書確認~契約締結:  必要情報(下記参照)を頂いたらすぐに見積書提出いたします。    
  • 税関へのACP 税関事務管理人の届出開始:  概ね2週間程度で完了します。
  • 初回出荷、輸出入の開始:  フォワーダー/通関業者はクライアント側でご手配下さい。当社にて紹介することも可能です。

 

お見積りに関して

問い合わせページよりご連絡下さい。以下について御連絡いただきましたら迅速に御見積提出いたします。

  • 輸入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
  • 一回の輸入における、おおよその金額規模
  • 輸入の頻度
  • ビジネスモデル(Amazon/楽天、B2B販売、委託販売/Consignment、日本への資産移動など)

 

 

 

当社の強み

  • 関税・貿易分野における高い専門性:SKアドバイザリー株式会社は、関税・貿易の法律と実務に精通したプロフェッショナル集団です。代表の澤田は通関士資格を有し、貿易会社での実務経験と、世界4大ファームであるKPMG(KPMG税理士法人)での関税コンサルティング経験を経て2020年に独立。関税法を軸とした確かな知識と経験に基づき、丁寧かつ的確なサポートを提供します。
  • 税関事務管理人および消費税の納税管理人のワンストップ対応:パートナー税理士との連携を通じ、税関手続きの代理人(税関事務管理人 - ACP)と国税・税務署での消費税手続きの代理人(消費税の納税管理人 - JCT Tax Representative)を包括的にサポートすることができます。
  • 関係法令コンプライアンスの徹底:輸出入に係る関係法令の遵守を最優先に取り組んでいます。税関等当局との協議相談をクライアントに代わり実施し、適正な輸出入オペレーション構築を支援します。
  • 英語・中国語でのコミュニケーション:英語でのコミュニケーション(英語会議のファシリテーション含む)を得意とし、クライアントからの厚い信頼を得ています。中国語でのコミュニケーションができるスタッフも揃えています。
  • 豊富な実績と信頼:年間80社程度の税関事務管理人の登録を行い、全てのクライアントが問題無く輸出入を実施できています。
  • 他法令物品対応の体制強化:当社および関係会社とのパートナーシップ体制を構築し、化粧品(薬機法)、電気用品安全法(PSE)規制製品、食品および食器(食品衛生法)などの法令物品についても輸入者・税関事務管理人としての対応が可能となりました。
  • Amazon SPN (Service Provider Network) 公認 サービスプロバイダー:Amazon SPN の公認サービスプロバイダーとして、税関事務管理人サービスを提供しています。(税関事務管理人/貿易コンプライアンス分野)

 

 

当社の消費税・納税管理人サービスについて

SKアドバイザリー株式会社では、税関手続きを代理する「税関事務管理人(ACP)」と、消費税の国税(税務署)手続きを代理する「納税管理人(JCT Tax Representative)」を包括的にサポートする「ワンストップサービス」を提供しています。

消費税の納税管理人業務の範疇に関しては、当社と提携する税理士事務所に業務委託し、当社が元請けとしてサービス全体の品質と進行を統括します。税関事務管理人が税理士と綿密に連携することにより、輸入時に支払った消費税の控除・還付を実現させます。

 

契約ストラクチャー(税関事務管理人及び消費税の納税管理人ワンストップサービス)

 

標準業務内容(消費税の納税管理人サービス)

当社と提携する認定税理士との連携により、以下の業務を提供いたします。

  • 消費税の課税事業者登録ご支援(適格請求書発行事業者番号(インボイス番号)の取得等含む)
  • 納税管理人の届出
  • 消費税申告の準備・申告代理
  • 税務署との連絡調整
  • その他消費税に関するアドバイス

 

税理士の柔軟なご紹介体制

クライアントの事業概要や税務上の複雑性に応じ、国際税務に精通した税務アドバイザーをご紹介することも可能です。

 

 

税関事務管理人 (ACP) おすすめ 情報:

税関事務管理人(ACP) サービス

食品衛生法の関連貨物(食品、食器類など)のACP 税関事務管理人/IOR 輸入者サービス

 

1-非居住者輸入における関税評価・申告価格の取扱い

2-非居住者輸入における消費税の取扱い

3-税関事務管理人の取扱制限 - 当社体制強化により法令物品も対応可能に

4-税関事務管理人の届出書

5-税関事務管理人の届出資格

6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, DDP取引など)

7-納税管理人(Tax Representative)

8-IOR/輸入者代行サービス

9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット

10-VMIでの税関事務管理人利用

11-税関事務管理人の届出代行申請、輸出入の代行業務サポート