自動車部品や機械部品産業の新規御客様(日本国外の部品/素材メーカー)から、税関事務管理人の依頼を受けることが多くなってきました。
日本側の最終顧客である完成品メーカーからのリクエストにより、VMI(Vendor Managed Inventory)すなわち、ベンダー(供給者)側で在庫管理を行うという方式に切り替えるというのが背景にあります。
日本国外の部品/素材メーカー(売り手)と日本の完成品メーカー側(買い手)との売買において、これまでは買い手側が輸入者となって輸入し、買い手側が自社在庫として管理するという方式を取っていました。これを、日本国外の部品/素材メーカー(売り手)が自ら輸入し、そのまま日本国内の客先の近くで在庫管理し、完成品メーカー側(買い手)側が欲しいタイミングで買い手の工場にJIT(ジャスト・イン・タイム)で納品するという方式に切り替えるというものです。
こうすることによって、買い手側としては在庫管理をする手間が省け、必要な量を必要な時に売り手側から納品してもらうことができます。更に、買い手側が輸入者とはならないため、輸入者に求められる様々な責務からも解かれることになります(例えば、法令で定められる輸入関係書類・帳簿保存対応や、税関事後調査の対応が不要になります)。
一方、外国の部品/素材メーカー(売り手)側は、税関対応としては、自らが輸入者となるために税関事務管理人(ACP: Attornery for Customs Procedures)を利用しなければなりません。また、国税対応として、日本国内での販売(消費税法上の課税売上)が発生することになるので、消費税の課税事業者登録及び定期的な申告業務を行うための納税管理人(Tax Representative)を任命する必要があります。
消費税のインボイス制度も考慮すると、B2Bであれば売り手側が登録事業者にならないと買い手側の消費税申告時に仕入控除できなくなってしまうので、納税管理人の利用も必須でしょう。
VMI方式への切り替え(例)
【従来方式】
外国の部品/素材メーカー(売り手) →販売→ 日本の完成品メーカー(買い手)
・日本側での在庫管理:買い手
・輸入者:買い手
・売り手側の日本国内における消費税の課税売上:無し
【VMI方式】
外国の部品/素材メーカー(売り手) →販売→ 日本の完成品メーカー(買い手)
・日本側での在庫管理:売り手
・輸入者:売り手 ・・税関事務管理人が必須(税関対応)
・売り手側の日本国内における消費税の課税売上:有り ・・消費税の納税管理人が必須(国税対応)
当社の御客様
6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, VMI, データセンターなど)
9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット