拠点設立前後の日本での輸入オペレーション(税関事務管理人から輸入実務プロフェッショナルサポートへの移行)
当社では数多くの(日本に拠点を有さない)外国法人に対して、同法人が輸入者になって日本で輸入できるように税関事務管理人サービスを提供しています。
日本における販売事業が軌道に乗ってきて、日本での会社設立を検討されるクライアント企業も増えてきました。今回は、会社設立前後の日本での輸入オペレーションのポイントについて触れたいと思います。
会社設立前
会社設立前は、税関事務管理人を利用することで、(日本に拠点を有さない)外国法人でも日本の輸入者になることができ、輸入~販売が行えます。一定程度販売規模が有る場合、消費税の納税義務が発生しますので、消費税の納税管理人の任命も必要です。
費用面を考えた場合、日本で会社設立するとなるとそれなりのコストがかかります。法人設立費用、不動産費用、日本法人で勤務する従業員の給与コスト、税金(法人税、消費税)等です。これに比べると、税関事務管理人と消費税の納税管理人の業務費用だけで済ませた方がオペレーションコストは圧倒的に低く抑えられるでしょう。
このように、会社設立と比較して税関事務管理人や納税管理人サービスの利用はコスト面で優位性があります。
会社設立前の輸入対応(税関事務管理人プロフェッショナルサポート)
- 輸入者:外国法人
- 税関事務管理人:SKアドバイザリー株式会社
- 輸入書類作成、税関・通関業者との調整:SKアドバイザリー株式会社
会社設立後
税関事務管理人を利用して手軽に事業を始めた後、販売事業が軌道に乗ってくると、マーケティング/営業/カスタマーケア等に力を入れるべく会社設立を検討する外国企業も多くいらっしゃいます。
日本で会社設立をした後は、当該日本法人が輸入者になることができるため、税関事務管理人は不要になります。しかしながら、輸入オペレーションを円滑に実施するためには、1)貿易に精通した人材を雇用して自社で取り組む、又は2)第三者の貿易実務プロフェッショナルにアウトソースすることが重要です。というのも、輸入時に求められる関税法/関税定率法等の遵守対応は、その分野の専門家でないと難しいからです。特に関係者間取引で輸入する場合(外国親法人から日本子法人への販売)や、売買無くして外国親法人が資産移動して輸入する場合などは、法律に則った関税評価を設定管理する必要があります。
当社では、税関事務管理人として携わっていたクライアントが日本法人を設立した後も、同様に第三者の輸入通関プロフェッショナル人材としてクライアント企業からアウトソースを受けて対応しています。こうすることで、クライアント企業が安心して会社設立フェーズへの移行を果たすことができるということです。
会社設立後の輸入対応(輸入実務プロフェッショナルサポート)
- 輸入者:設立した日本法人
- 輸入書類作成、税関・通関業者との調整:SKアドバイザリー株式会社
日本税関の制度改正(税関事務管理人の利用を指示)
外国法人自らが*IOR 輸入者にならずに、フォワーダーや通関業者等の第三者をIOR 輸入者に仕立てて不適切な形で輸入を試みる問題が多発していることから、2023年10月1日からの制度改正により、法律順守し、税関事務管理人を利用して外国法人自らがIOR 輸入者になることを税関が求めています。
(当社記事)2023年10月から開始する2つの新制度(1)輸入者代行から税関事務管理人への切替(2)消費税インボイス制度
(当社記事)2023年10月以降 税関 制度見直し|税関事務管理人の利用指示
*IOR = Importer of Record
当社の御客様
税関事務管理人(ACP)サービス
当社の税関事務管理人(ACP)サービスの概要は以下の通りです。
- ACP申請に必要な書類一式の準備、ACP登録
- 税関、物流会社/通関業者その他関係者との協議調整
- 適正な関税評価(輸入申告価格)の確認
- 税番(HSコード)、関税率、関税評価、原産地等の確認(事前教示等)
- その他関税関連に関するアドバイザリーサービス
- 関税法上必要な帳簿の保存 など
当社の強み
- 関税/貿易分野のプロフェッショナル:当社代表(澤田)は通関士有資格で、貿易会社における貿易実務経験、世界4大コンサルティングファームであるKPMGでの関税/貿易コンサルタント経験を経て、2020年にSKアドバイザリー株式会社を設立。関税関係法令に精通した法律専門家として、丁寧かつ適確なサポートを提供しています。
- 英語でのコミュニケーション:海外経験も豊富で英語でのコミュニケーション(英語会議のファシリテーション含む)を得意とし、クライアントからの厚い信頼を得ています。
- 関係法令遵守の徹底:輸入に係る関係法令の遵守の下、業務遂行に誠心誠意取り組みます。税関との協議相談をクライアントの代わりに行い、個々のクライアントの事情に合わせた適正な輸入オペレーションを確立します。
- 数多くの税関事務管理人サポート実績:これまで数多くの外国法人の輸出入に関して税関事務管理人として支援し、全てのクライアントが問題無く輸出入を実施できています。年間30社程度のACP登録を行っています。(当社実績の詳細は、別ページ「実績」を御参照下さい)
- Amazon SPN (Service Provider Network) 公認 サービスプロバイダー:Amazon SPN の公認サービスプロバイダーとして、税関事務管理人サービスを提供しています。(税関事務管理人/貿易コンプライアンス分野)
お見積りに関して
問い合わせページよりご連絡下さい。
以下について御連絡いただきましたら迅速に御見積提出いたします。
- 輸入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
- 一回の輸入における、おおよその金額規模
- 輸入の頻度
- ビジネスモデル(Amazon/楽天、B2B販売、日本への資産移動など)
6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, VMI, データセンターなど)
9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット
消費税 – インボイス制度導入の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット
2023年10月の消費税インボイス制度導入に伴い、数多くの海外企業が消費税のインボイス発行事業者となっています。
日本の顧客(買い手)側が消費税の確定申告をする際に、仕入(売り手)側への支払消費税について仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス発行登録事業者からの仕入インボイスでないといけません。これが、数多くの海外企業(売り手側)がインボイス登録事業者となっている背景です。
さて、(売り手側である海外企業が)インボイス発行事業者になるということは自動的に消費税の課税事業者になりますので、税務署への消費税の確定申告が継続して必要となります。そのことをよくご理解いただいたうえで、貴社の販売先が(通常、消費税申告を行わない)消費者であるB2Cのビジネスモデルなのか、(通常、消費税申告を行う)企業に対する販売をされているB2Bであるのかを考慮し、インボイス登録事業者になるかどうか慎重に検討なさって下さい。
非居住者の海外企業が輸入をして日本国内の顧客に販売する場合、消費税の取扱いは以下の通りとなります。
(1) 輸入時に、輸入消費税10%を税関に納付する。
(2) 日本国内の顧客から内国消費税10%を徴収する。
(3) 税務署に対し、定期的に消費税の確定申告を行う。 ※税理士への納税管理人の依頼が必要です。
- (3-1) 海外企業が自ら輸入者(IOR = Importer of Record)となって(1)輸入消費税を支払った場合、つまり税関事務管理人(ACP = Attorney for Customs Procedures)を利用して輸入した場合、(2) – (1)の差額分のみを税務署に納付することとなります。つまり、輸入消費税の仕入税額控除が可能です。
- (3-2) 海外企業でなく他の者が輸入者となった場合、輸入消費税の仕入税額控除はできません。したがって、(2)の全額を税務署に納付しなければなりません。
消費税の確定申告時に輸入消費税を控除できるのは、IOR 輸入者だけですので注意が必要です。輸入時に他のIOR 輸入者 サービス提供者、物流会社などがIOR 輸入者になった場合、実質的にその費用負担した海外企業が確定申告をする際、その輸入消費税の仕入税額控除を適用することができなくなってしまうのです。
したがって、上記(3-2)に示すように、(2)の全額を税務署に納付する必要があります。 一方、海外非居住者が、税関事務管理人(ACP)を利用して自らがIOR 輸入者となって輸入した場合には、その海外企業が確定申告をする際に輸入消費税の仕入税額控除を適用することができるようになります。上記(3-1)に示すように、(2)-(1)の差額のみを税務署に納付することが可能となります。 これが、税関事務管理人(ACP)サービスを利用する大きなメリットです。
他の者がIOR 輸入者になるのではなく、海外企業が自ら輸入者になるよう、税関事務管理人(ACP)サービスを利用されることを推奨いたします。
参考資料: