2021年 税関事後調査結果の総括(非居住者輸入の申告価格誤り事例)
財務省は、毎年11月に前事務年度の税関事後調査の結果を公表しています。
今般、2020年7月~2021年6月までの1年間に行われた輸入事後調査の結果が公表されました。
例年と異なる点で注目すべきは、主要申告漏れ事案の1つに、「非居住者による本邦ECサイトを通じた販売物品の輸入に関する申告誤り事例」が挙げられていることです。
事例4:非居住者からの委託を受けて輸入される貨物の申告誤り輸入者Dは、中国の輸出者から家具等を輸入していました。Dは、非居住者が本邦のEC(電子商取引)サイトで販売する予定の家具等の通関手続及び国内運送を輸出者から請け負っていましたが、適正な方法で課税価格を計算せず、輸出者が作成したインボイスに基づき申告していました。
その結果、その他の申告漏れも含め、申告漏れ課税価格は2億4,101 万円、追徴税額は2,201 万円でした。
資料:財務省 報道発表
業界関係者等からのヒアリングによると、事例のように不適切なインボイス価格に基づき輸入されているケースが多く実在することも事実だと認識しています。
当社では、税関事務管理人サービスを通じて非居住者の輸入のサポートを数多く行っており、関税関係法令のコンプライアンスに則り申告価格(関税評価額)を算出し、その算出根拠資料の整備、評価申告等の手続きの支援を行っています。
微力ではありますが、適正なコンプライアンスのもと皆様が安心して事業を行えるよう取り組んでまいります。
参考:令和2事務年度の関税等の申告に係る輸入事後調査の結果 | 財務省 | 2021年11月10日
日本税関の制度改正(税関事務管理人の利用を指示)
外国法人自らが*IOR 輸入者にならずに、フォワーダーや通関業者等の第三者をIOR 輸入者に仕立てて不適切な形で輸入を試みる問題が多発していることから、2023年10月1日からの制度改正により、法律順守し、税関事務管理人を利用して外国法人自らがIOR 輸入者になることを税関が求めています。
(当社記事)2023年10月から開始する2つの新制度(1)輸入者代行から税関事務管理人への切替(2)消費税インボイス制度
(当社記事)2023年10月以降 税関 制度見直し|税関事務管理人の利用指示
*IOR = Importer of Record
当社の御客様
協業実績のある物流会社(例)
税関事務管理人(ACP)サービス
基本業務スコープ(税関事務管理人としてサポートさせていただく主な業務内容)
- ACP申請に必要な書類一式の準備、ACP登録
- インボイス等の輸入関係書類の準備
- 税関、物流会社/通関業者その他関係者との協議調整
- 適正な関税評価(輸入申告価格)の確認
- 税番(HSコード)、関税率、関税評価、原産地等の確認(事前教示等)
- その他関税関連に関するアドバイザリーサービス
- 関税法上必要な帳簿の保存 など
※ACP 税関事務管理人を利用することで、輸入(非居住者を輸入者(IOR – Importer of Record)とする)及び輸出(非居住者を輸出者(EOR – Exporter of Record)とする)のいずれのケースにおいても同様にサポート可能です。
大まかなステップ
- 見積書確認~契約締結: 必要情報(下記参照)を頂いたらすぐに見積書提出いたします。
- 税関へのACP 税関事務管理人の届出開始: 概ね2週間程度で完了します。
- 初回出荷、輸出入の開始: フォワーダー/通関業者はクライアント側でご手配下さい。当社にて紹介することも可能です。
お見積りに関して
問い合わせページよりご連絡下さい。以下について御連絡いただきましたら迅速に御見積提出いたします。
- 輸入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
- 一回の輸入における、おおよその金額規模
- 輸入の頻度
- ビジネスモデル(Amazon/楽天、B2B販売、日本への資産移動など)
当社の強み
- 関税/貿易分野のプロフェッショナル:当社代表(澤田)は通関士有資格で、貿易会社における貿易実務経験、世界4大コンサルティングファームであるKPMGでの関税/貿易コンサルタント経験を経て、2020年にSKアドバイザリー株式会社を設立。関税関係法令に精通した法律専門家として、丁寧かつ適確なサポートを提供しています。
- 英語でのコミュニケーション:海外経験も豊富で英語でのコミュニケーション(英語会議のファシリテーション含む)を得意とし、クライアントからの厚い信頼を得ています。
- 関係法令遵守の徹底:輸入に係る関係法令の遵守の下、業務遂行に誠心誠意取り組みます。税関との協議相談をクライアントの代わりに行い、個々のクライアントの事情に合わせた適正な輸入オペレーションを確立します。
- 数多くの税関事務管理人サポート実績:これまで数多くの外国法人の輸出入に関して税関事務管理人として支援し、全てのクライアントが問題無く輸出入を実施できています。年間30社程度のACP登録を行っています。(当社実績の詳細は、別ページ「実績」を御参照下さい)
- Amazon SPN (Service Provider Network) 公認 サービスプロバイダー:Amazon SPN の公認サービスプロバイダーとして、税関事務管理人サービスを提供しています。(税関事務管理人/貿易コンプライアンス分野)
お見積りに関して
問い合わせページよりご連絡下さい。
以下について御連絡いただきましたら迅速に御見積提出いたします。
- 輸入貨物の概要(商品紹介ウェブサイトのリンク等)
- 一回の輸入における、おおよその金額規模
- 輸入の頻度
- ビジネスモデル(Amazon/楽天、B2B販売、日本への資産移動など)
6-税関事務管理人が必要になるケース(Amazon, VMI, データセンターなど)
9-消費税のインボイス制度の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット
消費税 – インボイス制度導入の影響、税関事務管理人(ACP)を用いた輸入のメリット
2023年10月の消費税インボイス制度導入に伴い、数多くの海外企業が消費税のインボイス発行事業者となっています。
日本の顧客(買い手)側が消費税の確定申告をする際に、仕入(売り手)側への支払消費税について仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイス発行登録事業者からの仕入インボイスでないといけません。これが、数多くの海外企業(売り手側)がインボイス登録事業者となっている背景です。
さて、(売り手側である海外企業が)インボイス発行事業者になるということは自動的に消費税の課税事業者になりますので、税務署への消費税の確定申告が継続して必要となります。そのことをよくご理解いただいたうえで、貴社の販売先が(通常、消費税申告を行わない)消費者であるB2Cのビジネスモデルなのか、(通常、消費税申告を行う)企業に対する販売をされているB2Bであるのかを考慮し、インボイス登録事業者になるかどうか慎重に検討なさって下さい。
非居住者の海外企業が輸入をして日本国内の顧客に販売する場合、消費税の取扱いは以下の通りとなります。
(1) 輸入時に、輸入消費税10%を税関に納付する。
(2) 日本国内の顧客から内国消費税10%を徴収する。
(3) 税務署に対し、定期的に消費税の確定申告を行う。 ※税理士への納税管理人の依頼が必要です。
- (3-1) 海外企業が自ら輸入者(IOR = Importer of Record)となって(1)輸入消費税を支払った場合、つまり税関事務管理人(ACP = Attorney for Customs Procedures)を利用して輸入した場合、(2) – (1)の差額分のみを税務署に納付することとなります。つまり、輸入消費税の仕入税額控除が可能です。
- (3-2) 海外企業でなく他の者が輸入者となった場合、輸入消費税の仕入税額控除はできません。したがって、(2)の全額を税務署に納付しなければなりません。
消費税の確定申告時に輸入消費税を控除できるのは、IOR 輸入者だけですので注意が必要です。輸入時に他のIOR 輸入者 サービス提供者、物流会社などがIOR 輸入者になった場合、実質的にその費用負担した海外企業が確定申告をする際、その輸入消費税の仕入税額控除を適用することができなくなってしまうのです。
したがって、上記(3-2)に示すように、(2)の全額を税務署に納付する必要があります。 一方、海外非居住者が、税関事務管理人(ACP)を利用して自らがIOR 輸入者となって輸入した場合には、その海外企業が確定申告をする際に輸入消費税の仕入税額控除を適用することができるようになります。上記(3-1)に示すように、(2)-(1)の差額のみを税務署に納付することが可能となります。 これが、税関事務管理人(ACP)サービスを利用する大きなメリットです。
他の者がIOR 輸入者になるのではなく、海外企業が自ら輸入者になるよう、税関事務管理人(ACP)サービスを利用されることを推奨いたします。
参考資料: